2010年9月29日
「21世紀を森の時代に」を読んで
上写真:今年はかぼちゃが大量に収穫できました。去年の生ごみ堆肥から 勝手に発芽したものを草よけに・・と思ってあちこちに適当に移植して 這わせていたら、なんと大小あわせて70個位収穫できました。食べき れないので勤務先の老人ホームに30kg寄付しました。
また、子供の友達と一緒にかぼちゃpartyを開いてカボチャ団子、カボチャドーナッツを作って食べました。
①天野礼子・山田壽夫・立松和平・養老孟司著
『21世紀を森の時代に』 北海道新聞社 (2008)
②養老孟司+日本に健全な森をつくり直す委員会著
『石油に頼らない~森からはじめる日本再生~』 北海道新聞社 (2010)
上記の2冊の本を最近読みました。
林業関係者、製材業関係者、建設関係者、そしてこれから家作りを考えていらっしゃる方、またはそうでない方々にもぜひ読んでいただきたい本だと思いました。
人類は産業革命後、化石燃料を使って文明を急速に発展させ、大変便利な時代になり、その豊かさを享受してきました。が、ここ近年の地球環境の悪化、化石燃料の枯渇により、「持続可能な社会」の構築が叫ばれるようになりました。これらの本では解剖学者である養老孟司さんがとくに限りある石油資源が枯渇してしまう前に、その石油を用いて人類は新たなエネルギー源体制を早急に作り上げなければならないと訴えておられます。
また、立松和平さんは日本文化(木の文化)の継承の危機を危惧され(伊勢神宮の建て替えや法隆寺の補修材不足)、「古事の森」事業を始めたり、ふるさと足尾銅山の森の再生事業をされていることなどが紹介されています。
そして、日本の産業から忘れ去られてしまったかのような林業を再生するために、知恵を出し合い、産業として「生業」としてやっていけるように再編成すべくがんばっている人がいることを、私はこれらの本で初めて知りました。
①の本では2000年前後から実際に林業再生の動きが出ており、そんな中で十勝のカラマツ材の乾燥・加工技術も研究が進み、住宅建材としての利用が可能になってきたという経緯が書いてありました。ああ、そのおかげで我が家は「リアルカラマツ住宅」に住むことができたんだなあ・・とありがたく思いながら読んでいました。
②の本では「日本に健全な森をつくり直す委員会」の面々が日本がこれから目指すべき姿として以下のようなことを書いています。
戦後植林した人工林資源が利用可能な段階にあるのに、現在の林業にはそれをうまく生かす仕組みがないこと(人、人件費、産業として採算の合う仕組み等)、山に人がいない(過疎化の進行、限界部落の発生)、世界的な木材需要の増加、資源ナショナリズムの高まりなどを基本認識として、
ⅰ:森林の所有する多面的機能の持続的発揮
国土の保全、水源の涵養、地球温暖化防止、生物多様性保全、木材生産
ⅱ:林業・木材産業の地域資源創造型産業への再生
木材の安定供給体制を確立すると共に、川下での加工・流通体制の整備・山村地域の雇用貢献
ⅲ:木材利用、エネルギー利用拡大による森林・林業の低炭素社会への貢献
2冊の本を読めば、詳しく書いてありますので、ぜひ読んでいただきたいと思います。
昨年でしたか、「派遣切り」に遭い、失業者が年を越せず宿舎を提供してもらい炊き出しまで行われた・・ということがありましたよね。私はあの時、この人たちをみんな国が公務員的な立場を保障して林業に振り向けてくれればいいのにな・・と思っていました。今日本では高齢者ばかりで地域として機能しない限界部落があちこちに発生してきています。戦後の経済発展のために山から人がどんどん都市に流出していった・・しかしその都市もいまや経済不況で行き詰っている・・戦後植林した木が生かされるべき仕組を税金を投入して作り、軌道にのるまで人件費も面倒みるくらいで・・そうすれば、過疎地が元気になり、林業が立ち直るし、川下の漁業にもいいし、東京一極集中の緩和にもなるし、現代人のストレスも軽減されるし(林業はじつは究極のエコだと思う)、持続可能な社会にとってもいいなあと思ったのです。
この本を読んで、私の漠然とした思いが活字になっていてとても嬉しくなりました。
話は飛ぶかもしれませんが、いつか「とかちの木で家を作る」ことが当たり前の世の中になってくれるといいですね。
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